史上初の密室トリックのパターン!
これまでいろんな作家がいろんな密室のパターンを書いていますが、このパターンは初めて読みました。
今日は作家今村昌弘のデビュー小説「屍人荘の殺人」について感想を書きます。
映画化もされた人気作なので、チェックしてみてくださいね。
「屍人荘の殺人」とは
屍人荘の殺人は今村昌弘のデビュー作となるミステリー小説で、東京創元社より2017年に発行されました。
第27回鮎川哲也賞を選考委員の満場一致で受賞するなど、国内の数々の賞を受賞。
- このミステリーがすごい!2018年度版
- 週刊文春ミステリーベスト10
- 2018 本格ミステリ・ベスト10
- 第18回本格ミステリ大賞
を受賞して、国内ミステリーランキング4冠を達成しました。
さらに、神木隆之介を主演として映画化され、2019年12月13日に公開されました。
あらすじ
神紅大学のミステリー愛好会のメンバーである自称「神紅のホームズ」明智恭介と、そのパートナー葉村譲は、ある美少女「剣崎比留子」に呼び出される。
そして明智らが参加を熱望していた曰くつきの映画研究会の合宿へ誘われる。
理由は聞かないことが交換条件という怪しい剣崎だったが、明智は即参加を了承する。
そして合宿当日、宿泊先の紫湛荘に映画研究会のメンバー、そしてOBが集まって来る。
昨年も行われた合宿だが、2年連続で参加するメンバーはわずか。
なぜなら、昨年参加した女性メンバーが自殺、失踪しており、その理由は明かされていないため、映画研究会のメンバーがみんな不参加を決めたため。
さらに、合宿直前、謎の脅迫文が映画研究会に届く。
合宿初日、ある事件によって合宿メンバーは紫湛荘に閉じ込められてしまう。
そして、翌朝映画研究会の部長遠藤歩が殺害される。
部屋は密室、そして建物も密室という二重の密室のため、殺害は困難な状況。
葉村らは犯人を見つけることができるのか。
しかし、これは連続殺人事件のはじまりだった。
このような方におすすめ
この小説は、密室殺人事件となっていますが、その設定が他の小説とは全く違っています。
これまでの小説であれば、
- ドアに鍵がかかっている
- 天候悪化で建物に閉じ込められる
- 人が誰もいない無人島
みたいな感じでクローズドサークルは形成されます。
しかし、この小説ではこれまでにない〇〇〇によってクローズドサークルが形成されます。※ネタバレになるので伏字
そしてこの〇〇〇によってクローズドサークルにされた紫湛荘の中で殺人事件が次々と起こっていきます。
その殺人事件にもうまく〇〇〇が関係してきます。
ここがこの小説の斬新であり、面白いところです。
僕は「屍人荘の殺人」は
- ミステリー小説が好き
- 見たことない設定を楽しみたい
- 斬新なトリックを味わいたい
な方にオススメの小説です。
「屍人荘の殺人」はここが面白い
密室殺人×〇〇〇という斬新な設定
散々書きましたが、この小説は一番の面白さはその設定です。
〇〇〇をうまく使うことで、普通のありふれた密室殺人事件が見たこともない作品になっています。
ここはネタバレになってしまうので書けないのが非常に難しいですが、おそらく誰もが予想できない要因によりクローズドサークルが形成されます。
そして、殺人が行われた部屋も密室になっていたのですが、建物自体も巨大な密室となり、その未知の要因によって脅威にさらされます。
そして犯人は、ターゲットを次々と殺害していくのですが、そこには〇〇〇をうまく利用することでこれまでにないトリックを実現しています。
このトリックは正直に驚きました。
ただのミステリー小説が、別の要因を一つ加えることでここまで化学反応して化けるんだと思いました。
これが著者のデビュー作だと言うんだから、本当に衝撃ですね。
予測不能な展開
話が進んでいく中で、予想外の展開が次々と起こります。
そもそも、クローズドサークルの要因の時点で既に予測不能ですが笑
意外な人物があっさりと殺されてしまったり、殺人事件なのにちょっと切ない部分があったり、読んでいて「ん?」「うわっまじか?」みたいな展開の連続です。
犯人も僕の予想の斜め上をいっていて、僕は予想を外しました。
それまでの部分で犯人と思われるような文章があって、僕が途中から犯人だと思っていた人物は最後までいい人でした。
完全に作家の誘導によりミスリードされてしまいましたね。
読んだ後に
「なんであの人が?」
「だってあの人があの時あれを話してほしいっていったのでは?」
と不思議に思ったのも僕が全く犯人だと疑ってもいなかった人が犯人だったからです。
でも犯人を知ってから読むと、きちんとその方を犯人と疑うべきポイントは書かれていて、本当に上手いなぁって思いました。
僕は気持ちよく騙されたので同じ気持ちになりたい方はぜひオススメです。
まとめ
今日は今までには斬新な設定のミステリー小説「屍人荘の殺人」を紹介しました。
この小説はその設定自体が面白いのですが、そこを書いてしまうとネタバレになってしまうのでなかなか魅力を伝えるのが難しかったです。
しかし、初めてみるクローズドサークルの設定と、その設定をうまく利用したトリックはこの小説でしか書けないし、味わうことはできないです。
この今までになかった斬新設定と斬新トリックに興味を持った方は、ぜひ手に取ってほしい作品です。