謎解きはディナーのあとで(東川 篤哉)で論理的思考が身に付く?

誰でもサクッと読めるライトミステリー

今日は普段ミステリーなど読まないし、興味もないって方でも楽しむことが出来る小説「謎解きはディナーのあとで」の感想を書きます。

決して本格ミステリーとは言えませんが、おススメのポイントをまとめますので、興味が出た方はぜひ手に取ってほしいです。

 

 

「謎解きはディナーのあとで」とは

「謎解きはディナーのあとで」は、2010年に発行された東川篤哉によるミステリー小説。

2012年に本屋大賞を受賞した人気作品で、その後に2011年「謎解きはディナーのあとで2」、2012年「謎解きはディナーのあとで3」と続編が発行されています。

また、北川景子を主演としたテレビドラマ、劇場版映画、さらには舞台、オーディオブックなど様々な媒体にも展開されています。

 

概要

世界的企業グループの令嬢である新人刑事の宝生麗子が。麗子の執事影山とともに遭遇したあらゆる事件を解決していくミステリー小説。

影山は執事でありながら、雇い主の麗子に対して毒舌や暴言を吐くなどまさにドS執事。

しかし、一方で事件現場を見ることなく、概要を聞いただけで推理し事件の真相にたどりつく。

本作は、新人お嬢様刑事とドS執事が様々な事件を解決するユーモアミステリーとなっています。

 

 

「謎解きはディナーのあとで」のおススメのポイント

この小説一番のオススメは、執事の影山と新人刑事で大企業の令嬢である麗子の掛け合いです。

影山は麗子の執事ですが、実は探偵になりたかったという毛色の変わった人物で、麗子から事件の捜査状況を聞かされるのが大好きです。

そして、話を聞いただけで事件の真相を見抜いてしまいます。真相を明かすにあたり、麗子を「アホ」呼ばわりします。

「この程度の真相がお判りにならないとは、お嬢様はアホでいらっしゃいますか?」

「失礼ながらお嬢様、ひょっとしてお嬢様の目は節穴でございますか?」

「それでもお嬢様はプロの刑事でございますか。正直、ズブの素人よりレベルが低くていらっしゃいます」

その慇懃無礼ぶりと麗子の怒り方がなんと言っても愉快です。

二つ目のオススメは、麗子と麗子の上司の風祭警部との掛け合いです。

影山と麗子では麗子が愚弄されるわけですが、風祭警部と一緒に仕事をしている時には、麗子は風祭警部のやや上を行きます。

麗子は形の上では上司を立てますが、心の中で罵倒し、プライベートで自分に迫ってくる上司を鬱陶しく思っています。

2人の関係性が面白く描かれています。

三つ目のオススメは、「謎解き」という言葉で事件がまとめられているように、事件当事者のドロドロした人間模様があえてカットされているところです。

そのため、殺人事件を扱っていても、不必要に深刻にならないところが、軽快に読めて楽しめます。

 

 

「謎解きはディナーのあとで」は論理学の教科書?

私はこの小説を読んで論理的に考える習慣を育てることの大切さを学びました。

影山は麗子の話を聞いただけで事件を解決します。

「謎解き」のコツは、論理的に考えることです。

麗子は優秀な大学を優秀な成績で卒業したという設定で、上司の風祭警部と比べると常識的で冷静な点が強く出ていますが、論理的に考えるのが得意ではありません。

影山は、事件を整理し、犯人を明らかにしていきますが、名指しすることは稀です。

そのため、麗子は、事件に関わった人物の誰が犯人なのかをあえて影山に尋ねることが少なくありません。

そんな時、影山は麗子を諭します。

論理的に考えるようにと言うのです。

麗子は、仕方なく理詰めで関係者を絞っていきます。

その過程は論理学の演習のようです。

論理的に考える習慣を育てることが、複雑に見える出来事を整理するうえで非常に役立つと言うことを、「謎解きはディナーのあとで」で学びました。

 

「謎解きはディナーのあとで」は論理的に考えられるようになったらいいだろうなと思いつつ、適当な教材がなく困っている人にオススメしたい小説です。

論理学の教科書は堅苦しい本が多いのが困った点ですから、楽しく、けれども着実に論理的な思考を身につけたい人に、「謎解きはディナーのあとで」はぴったりです。

事件をお嬢様の話だけで解決してしまう影山は、お嬢様相手に謎解きをします。

それゆえ、話は丁寧でわかりやすいものになっています。

また、一気に答えにたどり着かせるのではなく、途中で謎解き初心者である麗子に考えさせる場面も用意され、その後は、麗子がゆっくりと答えを探っていきます。

理詰めで考えることが習慣となっていない麗子なので、読者は楽について行くことができます。

楽しみながら、いつしか麗子と一緒に論理的に答えにたどり着けるのが魅力です。

 

 

まとめ

今日は本屋大賞も受賞した人気小説「謎解きはディナーのあとで」を紹介しました。

この小説は決して本格ミステリーとは言えませんが、ミステリーの入門書としてはとても楽しめる作品となっています。

麗子と影山の掛け合いなど笑える部分も多くあるので、ミステリーを普段読まない方にこそ読んでほしいです!

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