映画「糸」を特別先行上映で観たのでネタバレありで最速レビュー!!

人は出会うべき時に出会うべき人に出会う

中島みゆきの名曲「糸」をモチーフとした映画「糸」を特別先行上映で観てきました。

「縦の糸はあなた 横の糸はわたし 逢うべき糸に出会えることを人は仕合わせと呼びます」

歌詞にもあるように、菅田将暉演じる漣と小松菜奈演じる葵の二つの人生(糸)のすれ違いや交わりがうまく描かれていました。

二人だけではなく、親や子、親友などさまざまな人が交わって作られた人生の布は、果たしてどのような模様なのか。

ネタバレしつつ、その魅力を書いていこうと思います。

 

 

映画「糸」とは

中島みゆきの名曲「糸」をモチーフとして、原案・企画を平野隆、監督瀬々敬久で映画化。

糸は、中島みゆきが結婚する友人のために作った曲で、結ばれる二人を2本の糸に例えて、二人が出会った軌跡を表現しています。

映画では、小さい頃に出会った二人が、一度離れて、また出会って、そうやってそれぞれが別々の人生を歩んでいきながらも二人が織りなす出会い、困難、軌跡を中島みゆきの名曲「糸」に乗せて描かれています。

映画の公開は2020年8月21日となっています。

 

あらすじ

北海道で生まれ育った高橋漣は友人竹原直樹と行った花火大会で園田葵と出会い一目惚れをする。

葵が義父から虐待されていることを知った漣は、葵を連れて駆け落ちを図るが、あっさりと見つかり、引き離されてしまう。

その後、漣は地元北海道で、葵は東京でそれぞれの人生を歩んでいく。

数年後、友人直樹の結婚式で漣は葵に再会する。

しかし、二人は挨拶程度の会話をしただけで、葵は迎えに来た車に乗り込み、再び別れてしまう。

車の中で泣く葵。

漣は北海道に戻り、これまでと変わらない日常を過ごしていく。

お互いを想いあう二人の糸は再び巡り合うのか。

 

 

「糸」ネタバレ

ネタバレ①:出会い

漣は友人の直樹と行った花火大会で葵とその友人弓と出会います。

きっかけは自転車で転倒した漣に対して、心配した葵が駆け寄ってバンドエイドを渡したことです。

この時、漣はバンドエイドを渡す葵に対して「大丈夫?」と返します。

葵の腕には義父から受けた虐待を隠す包帯が巻かれていたから。

その後、仲を深めていく二人。

サッカーをする漣のために手作り弁当を作った葵。

葵は近所に住む村田節子にご飯の作り方を教わっていました。

漣は葵に「サッカーで海外を飛び回って活躍する」と言い、

葵は漣に「普通に生きていきたい」と言います。

そんなある日、葵が突然姿を消す。

葵の居場所を知った漣は葵を追いかけていき、葵が義父から虐待を受けていることを知る。

漣は葵を連れて駆け落ちをする。

しかし、一晩過ごした翌日、二人は見つかって、引き離されてしまう。

 

ネタバレ②:再会

漣は地元のチーズ工場で働いていた。

漣は直樹の結婚式に出席するため、東京に向かう。

直樹の結婚相手は、花火大会で会った葵の友人の弓だった。

漣は弓から結婚式に葵が来ることを聞かされる。

結婚式で再開した二人。

しかし、二人は挨拶程度の会話をしただけで、別れてしまう。

葵を追いかけた漣だったが、そこで見たのは、葵を迎えに来た外車に乗った男性だった。

そして葵は男性の車に乗って帰っていった。

 

ネタバレ③:旅立ち

北海道に戻って働く漣は、同じ工場に勤める桐野香と交際するようになった。

そして香と同棲をすることになった漣は役所に行き、再び葵と再会する。

葵は母を探していた。

「一度でいいから謝ってほしい。」

葵はそのために北海道にきていた。

親戚が函館にいることを聞いた漣は一緒に行くことを決めた。

そして、親戚の家で「母親は既に亡くなっている」ことを知る。

葵は号泣する。

「本当は一度でいいから抱きしめてほしかった。」

そっと葵を抱きしめる漣。

函館空港から帰る葵に漣は言う。

「ずっとあの町で普通に生きていく。」

葵は漣に言い返す。

「わたしは海外を飛び回ろうかな。」

そして、二人は再び別れる。

 

ネタバレ④:それぞれの糸

漣と香は結婚して子供ができる。

しかし、妊娠した香に腫瘍が見つかる。

香は、「子供は産む。産んだ後に治療する。」と譲らず、娘の結を出産する。

治療はうまくいったかに見えたが、病気が再発してしまう。

香は漣に「幸せだった。後悔していない。」と言い、

結に「泣いている人がいたらだきしめてあげる人になりなさい」と教える。

そして病気が治ることはなく、香は亡くなってしまう。

香の葬式で泣く祖父母。

結は母親に言われた通り、後ろから抱きしめる。

 

北海道から帰った葵。

しかし、葵と付き合っていた男性、水島はいなくなっていた。

そんな葵は、東京でバイトをしていた時の友人高木玲子から一緒に仕事をしないかと誘われる。

シンガポールに行った葵は玲子とともにネイリストとして働く。

ある日、玲子は客と揉めてしまい、クビになってしまう。

玲子は地元に帰ろうとするが、葵は玲子とともに独立することを決める。

二人は自分の店をオープンし、経営は順調に進む。

しかし、ある日玲子が姿を消す。

玲子は会社の金を使って大きな失敗をしたのです。

会社はあっさりと潰れてしまいます。

葵は、友人、会社、帰る場所、全てを失ってしまったのです。

全てを失った葵は、日本食堂に入り、カツ丼を注文します。

「不味い。」

葵は泣きながらカツ丼をかきこみます。

 

ネタバレ⑥:出逢い

シンガポールから東京に戻った葵。

ネイルサロンで働いていた葵にある男性が現れます。

「葵さん、一緒に働こう」

シンガポールで一緒に働いていたスタッフが自分の店を立ち上げて葵を誘いにきたのです。

「人は出会うべき時に出会うべき人に出会う。それが僕にとっては葵さんだったんです。」

葵にシンガポール行きにチケットを渡して去っていく。

飛行機の出発日、悩んだ葵は荷物をまとめて家をでる。

そのとき、ある記事が目にとまる。

小さい頃にご飯を食べさせてもらったり、料理を教えてもらった近所のおばあさん、節子が「こども食堂」を始めたという記事だった。

記事の中で、節子ははじめてご飯を食べさせた子として葵のことが書かれていた。

葵の足は空港ではなく、節子のこども食堂へと向かっていた。

こども食堂に着くと、節子は黙って葵にご飯を出す。

それは昔と何も変わらないご飯。

ご飯を食べた葵は言う。

「このご飯が一番おいしい。帰ってきたって思う。」

「おかえり」

節子が葵にそういうと、葵の目から涙があふれてとまらない。

そのとき、葵は後ろから抱きしめられる。

それは小さな女の子だった。

「泣いている人がいたら、抱きしめてあげなさい。」

「そうお母さんに言われたから。」

葵は「いいお母さんだね。」というと涙をぬぐった。

節子から葵はこの子はご飯を食べに来たのではなく、父親が作ったチーズを届けに来たと言われます。

そして父親が女の子を迎えに来ます。

葵は女の子を追って外に出ます。

そこで目にしたのは、女の子を迎えに来た漣でした。

追いかけようとした葵に節子が言います。

「あの子のお母さん、亡くなってるんだ。」

それを聞いた葵は動くことができませんでした。

 

チーズ工場に戻った漣と結。

結は先ほどあった話をします。

「泣いている人がいたから、抱きしめてあげた」

「いいお母さんねって言われた」

さらに結がいいます。

「その女の人におばあさんが「おかえり」って言ってた」

それを聞いた漣は思わず立ち上がって駆けだす。

しかし、オーナーに呼び止められて我に返る。

「ですよね。俺はどこにいこうとしてるん。」

足をとめた漣。

そのとき、背中にこつんと何かが当たる。

振り返ると笑顔の結がいた。

そして、漣に向って小さなどんぐりを投げていた。

昔、香が漣にしたのと同じように。

「行け!漣」

その瞬間、漣は駆け出します。

 

節子から葵が函館からフェリーに乗ることを聞いた漣は函館港に向かう。

平成最後のカウントダウン。

函館港は人で賑わっていた。

葵を探す漣は大声で葵を探す。

自分を呼ぶ声が聞こえた葵はフェリーから降りて、声の主を探すが見つからない。

葵はフェリーに引き返す。

漣は一度葵の姿を見かけるが、人込みで見失ってします。

葵に会うことができないまま、フェリーは函館港を出る。

桟橋で立ち尽くす漣。

その時、立ち尽くす漣の手が握られる。

漣が振り返ると、そこには走ってきて息を切らした葵の姿。

漣は葵に言う。

「大丈夫?」

 

 

「糸」を観た感想

この映画は中島みゆきの糸を元に企画・脚本化されましたが、映画を観終わった後、歌詞を読んだときにグッとくるものがありました。

なぜめぐり逢うのかを私たちはなにも知らない

いつめぐり逢うのかを私たちはいつも知らない

二つの糸は漣と葵ではありますが、二人以外の様々な糸(香、結、節子、玲子など)が織なって、二人のものがたりがめぐり逢いました。

 

特に最後に漣が葵に気づいて駆け出すシーン。

一度は我に返って止まりますが、結がぶつけたどんぐりによって走り出します。

映画の中で、漣がどんぐりを3人からぶつけられます。

一つ目は病室で「行け!漣」と香から

二つ目は駆け出そうとして踏みとどまった漣に対して結から

そして、実は香がなくなったあと、もう自分の人生を歩んでほしいと願う香の父親から「行け!」とどんぐりをぶつけられます。

逢うべき糸に出遭えることを人は仕合わせと呼びます

このとき、漣は3人から背中を押されて駆け出しました。

逢うべき糸に出遭うために。

他にも様々な場面で、漣と葵のすれ違いが描かれます。

ここでは二人は逢わないんだ、なんてじれったく思うときもありましたが、最後の最後に出遭ったことこそが、まさに「人は出会うべき時に出会うべき人に出会う」だと感じました。

エンドロールでは、めぐり逢った二人のその後が描かれています。

ここもグッときます。

最後に菅田将暉が歌う糸も必見ですね。

 

 

まとめ

今日は8月21日公開の映画「糸」を紹介しました。

漣と葵のふたつの物語を通じて、糸という曲がうまく表現されていると感じました。

香が漣に言った言葉が頭に残っています。

運命の糸はたまにほつれる

そして切れる

でもずっと続いているんだよ

香は病気で亡くなってしまいましたが、香の運命の糸もずっと続いていて、漣と織なった布がずっと結を暖めていくんだなと思いました。

とても心温まる映画でした。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です