愛しているから身を引く切なさがヤバい
映画「君の瞳が問いかけている」を先行上映で観てきましたのでレビューを書きます。
「君の瞳が問いかけている」は、横浜流星と吉高由里子のW主演による純愛映画です。
監督は、僕も以前レビューされていただいた「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」を撮った三木孝浩監督になります。
「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」で愛の大切さを実感できるさらに主題歌は、いま世界で活躍するBTSが、映画の主題歌を初めて提供しています。
かなりの注目作品となっており、僕は先行上映で早速観てきました。
映画「君の瞳が問いかけている」とは
2020年10月23日に公開する作品で、原作は観客動員数130万人を超えるヒットを記録した韓国の恋愛映画「ただ君だけ」になります。
盲目の女性に、報われることのない愛を捧げ続ける男性を描いたチャールズ・チャップリンの名作「街の灯」をモチーフとした純愛ラブストーリーで、視力を失った女性と過去の過ちを抱えながら生きる元ボクサーが描かれています。
予告編はこちら
あらすじ
主人公・篠崎塁は、将来を期待されていた元キックボクサー。
しかし、ある事件をきっかけにキックボクシングの世界から離れ、現在はお酒の配達やビルの管理人としてその日暮らしをしていた。
いつものように管理人として働いていた時、ある女性と出会う。
その女性は、車による事故により視力を失った女性・柏木明香里だった。
偶然出会った二人だが、一緒にドラマを見たり、コンサートに行ったりしながら、お互いに会話を重ねていく。
キックボクシングから離れ、心を閉ざしていた塁だったが、明るく生き生きと過ごす明香里と接するうちに、徐々に心を開き、そして明香里が大切な存在になっていく。
そして、明香里から襲撃の事実を聞かされる。
それは、これまで話したことがなかった明香里が視力と両親を失った事故の秘密。
彼女の秘密を聞いたとき、塁は気づいてしまった。
明香里の事故に自分が関わっていたことを。
過去の罪の重さに押しつぶされそうになる塁。
そんなとき、明香里の目に新たな病気が発症する。
医師からはこのままでは失明の可能性があることを告げられる。
塁は明香里の手術代を稼ぐため、過去出場していた闇の賭博試合のリングに立つ事を決意する。
しかし、それと同時に明香里の前からも去ることを決意した塁。
明香里の未来に自分はいないことを悟った塁。
そして、塁との輝く未来を想像している明香里。
運命に翻弄された二人のあまりに切ない純愛ラブストーリーの結末は。
「君の瞳が問いかけている」のネタバレなし感想
今作は、吉高由里子さんと横浜流星さんのW主演ですが、お二人の演技と役柄がとてもハマっていたように思います。
吉高由里子さんは、ある事件により、両親と視力を失った女性を演じていますが、目の見えない演技の自然さや、ちょっとした表情などがとてもよかったです。
本当に見えていないような目の雰囲気が素晴らしいなと思いました。
そして、そんな境遇でも明るく活発な女性、明香里。
吉高由里子さんは他の役柄でも、こういった明るい女性を演じることが多いように思いますが、本当にあっていると思いました。
偶然、横浜流星演じる塁が管理人をするビルに現れますが、一緒にドラマを見たり、デートをしたり、視力というハンデを負った女性で弱々しく危なっかしくもあったのですが、徐々に惹かれていく塁の気持ちもわかりました。
とにかく何気ない一つ一つの表情が素晴らしいです。
ただ、裏では職場で上司のセクハラにあったり、トラブルのシーンもいくつかありますが、そこも明るく、ハンデをもろともしない強い女性部分も観ることができます。
そして、横浜流星。
彼が演じる塁もまた魅力的なキャラクターでした。
ある事件により、チャンピオンを目指していたキックボクシングを諦めてしまい、覇気のない生活を送っていたのですが、そこから明香里と会い、一緒の時間を過ごしていくことで、恋に落ち、再び立ち上がっていく心の変化がとてもよかった。
終盤では立ち直った塁の格闘シーンが出てきますが、さすが元空手の世界大会優勝者。
キレキレでその迫力のある格闘シーンは必見です。
本作は、最初は警戒していた明香里が、一緒の時間を過ごしていくにつれて、塁を信じていくのですが、その表情の変化がとてもよかったです。
前半は、本当に王道の恋愛映画を観ているようで、明香里と塁の恋の行方にひきこまれていきます。
そんな中、明香里が視力を失った事故と、塁が過去に起こした事件が結びついてしまいます。
ここから終盤に向けて、一気に観ている側の心を鷲掴みにして離さないような展開が続いていきます。
明香里の目の手術のため、塁が出場することを決めた闇の賭博試合。
塁は過去の過ちの清算をするため、大金を得るために決断する。
でもそれは、再び塁が闇に落ちることを意味し、もう表舞台には戻ってこれないことを意味します。
この二度と明香里の前には戻ってこないと決めた塁の表情、切なさが見ていて心に刺さってきました。
視力を取り戻し、塁と二人で歩んでいく未来を見ようとした明香里。
明香里を守るために、彼女の未来に自分はいてはいけないと去った塁。
視力を取り戻した明香里ですが、塁の顔を見たことがないので、偶然会っても気づくことはありません。
唯一覚えているのは、塁に触れた手の感触だけ。
そばにいるのに気づかない。
この時の塁の表情の切なさやみているこちらのもどかしさなどが、とてもよかったです。
この二人のラストはどうなるのか。
前半の散りばめられた伏線を回収しながら、最後に迎えるラストシーン。
必見です。
「君の瞳が問いかけている」ネタバレあり感想
それでは、ネタバレありで感想を書きます。
皆さんはこの映画をどう感じましたでしょうか?
ネタバレなしのレビューでも書きましたが、この映画は、吉高由里子さん、横浜流星さんのそれぞれにめちゃくちゃあった役柄でまさにはまり役だと強く感じました。
吉高さん演じる明香里のハンデを負っていても明るく元気な女性はとてもかわいらしく思いましたし、そのちょっとしたしぐさや表情に明香里の魅力を感じました。
職場で上司からセクハラにあったり、道で車にひかれそうになったり、視力が弱いことによるトラブルなども数多く合います。
そこでも明香里は明るく振る舞いますが、逆にそこは明香里の無理に明るくし耐えていく姿にも見えて、痛々しく見えました。
そして、横浜流星さん演じる塁。
塁はとにかく格好いい。
そして表情の変化。
明香里にあって、だんだんと目に力が宿っていくのが見えたり、ここの演技力は、ただ凄いなと思いました。
序盤は恋愛映画のように展開していきますが、そこにもちょっとクスッとくるポイントもありました。
例えば、明香里が好きだと言って一緒に見たドラマ。
あれは完全に横浜流星さんの出世作「初めて恋をした日に読む話」でしたね。
ピンク色の髪が出てきたときは「完全にユリユリだぁ」って感じ。
他にも明香里は視力が弱いため、鼻が効くんですが、最初の二人の思い出の花・金木犀に気づく設定かとおもいきや、まさかの塁の足や汗の匂いに気づいたり、ここはちょっとコントを見ているようで面白かったですね。
前半は、ちょこちょこ笑うポイントもあり、楽しく恋愛映画として観ていきました。
ただ、その中には後半に続く伏線がいたるところにちりばめられていました。
ここは後半で気づかされますが、本当にいい構成でした。
これによって一気に物語に引き込まれました。
後半、視力を取り戻した明香里ですが、塁は既に姿を消しています。
明香里が彫刻で塁の顔を作ろうとするシーン。
明香里は当時、触った塁の顔の感触で作ろうとしますが、その時、目には大量の涙。
ここも前半に明香里が塁に言った言葉。
「大学時代の彫刻などは思いだせるけど、父や母の笑顔などが思い出せない。毎日、ただ見ていた、ずっとあると思っていたものが思い出せない。」
ここは、明香里にとって塁はずっと一緒にいる人、一緒にいれると思っていた人、それが突然いなくなってしまい・・・みたいに僕は感じされられました。
他にも明香里と塁がデートで行った海。
そこはお母さんが塁と心中を図ろうとして、塁だけが助かった場所。
明香里が塁に探してほしいと言ったシーグラス。
この時のセリフ「角が取れて傷つけることはない。傷ついた人は、その痛みを知っているから、もう傷つけることはない。」
これも、まさに塁のことを言った言葉ですし、後半で偶然二人が再開した時、名乗ることのできない塁が目に涙を浮かべながら握りしめていたのが、この時のシーグラスというのもとてもよかったです。
そして、明香里が塁に気づくシーン。
前半からの伏線
- マッサージの手の感触
- 吼える飼い犬スク
- 金木犀
- オルゴールの曲
これらを全て回収して、追いかけるシーンには涙がでました。
そして、塁を見つけた場所は、かつてお母さんが心中しようとした海。
塁はお母さんのように一歩ずつ海に進んでいく。
見つけた明香里の呼びかけに気づいて歩みを止める塁。
ここで最後に塁が明香里に行った言葉
「ただいま」
ここは、これまでの展開などを思い出し、とても深く心を揺さぶられるセリフでした。
また、塁の名前「アントニオ」
前半で出てきたときはちょっと笑っちゃいましたが、終盤でまさかこのアントニオに泣かされることになるとは思いませんでした。
そして、劇中に度々登場する「椰子の実」。
この歌の歌詞も明香里と塁のことを歌詞にしたような歌で、二人の強い絆や繋がりを印象付けられ、この歌をもってきた脚本家に僕は感服しました。
まとめ
今日は10月23日公開の映画「きみの瞳が問いかけている」を紹介しました。
W主演の吉高由里子さん、横浜流星さんの自然な演技が素晴らしくて物語に入り込むことができました。
元が韓国の恋愛映画ということで、王道ともいえるストーリーでしたが、そこに日本のテイストをうまく脚本にいれていて、とてもよかったです。