アニメーションでしか表現できない映像美。
そして、原作にはないまさかの展開、まさかの結末に心が震えた。
映画「ジョゼと虎と魚たち」を試写会で観てきましたのでレビューを書きます。
映画の公開は2020年12月25日になります。
観た後にすごく気持ちが前向けになれる素晴らしい映画でした。
アニメーションにより実写では作れない映像もとてもきれいでした。
後半のネタバレありのレビューでは、めちゃくちゃよかった原作にはない追加された脚本についても書いてきます。
それでは、感想を書いていきます!
動画で見たい方はこちら
映画「ジョゼと虎と魚たち」とは
原作は田辺聖子の同名の恋愛小説。
足が悪く車いすで生活をするジョゼと、どこにでもいる普通の大学生の恒夫を主人公に、2人の恋の行方を喜びや痛みを交えて綴った物語です。
2003年に妻夫木聡、池脇千鶴の主演で映画化され話題となり、海外でも高い評価を得た作品です。
そして今回、監督をアニメ「ノラガミ」シリーズなどのタムラコータロー、脚本を『ストロボ・エッジ』などの桑村さや香、キャラクターデザインと総作画監督を『たまゆら』シリーズなどの飯塚晴子が手掛け、劇場アニメ版として生まれ変わりました。
予告編はこちら
あらすじ
趣味の本と想像の中で、自分の世界を生きるジョゼ。
幼いころから車椅子の彼女は、ある日、危うく坂道で転げ落ちそうになったところを、大学生の恒夫に助けられる。
海洋生物学を専攻する恒夫は、メキシコにしか生息しない幻の魚の群れをいつかその目で見るという夢を追いかけながら、バイトに明け暮れる学生。
そんな恒夫にジョゼとふたりで暮らす祖母・チヅは、あるバイトを持ち掛ける。
それはジョゼの注文を聞いて、彼女の相手をすること。
しかしひねくれていて口が悪いジョゼは恒夫に辛辣に当たり、恒夫もジョゼに我慢することなく真っすぐにぶつかっていく。
そんな中で見え隠れするそれぞれの心の内と、縮まっていくふたりの心の距離。
その触れ合いの中で、ジョゼは意を決して、夢見ていた外の世界へ恒夫と共に飛び出すことを決める。
「ジョゼと虎と魚たち」のネタバレなし感想
今作は、原作を元にしたオリジナルのストーリーとなっていて、実写化された映画とは全くストーリーが変わっています。
昔公開された実写版は当時清純派の女優だった池脇千鶴のヌードや、妻夫木聡との濡れ場などが話題となりましたが、今作はそういった描写はなくし、ビュアな王道のラブストーリーとして生まれ変わっています。
声を演じた中川大志と清原果耶。
とても自然な声の演技がとてもよく、僕はストーリーに深く入り込むことができました。
特に清原果耶のジョゼはよかったです。
あのちょっとあざとい感じの関西弁がクセになりそうです。
ストーリーも、自分の夢に向かってアルバイトをして前向きに生きる恒夫と、車椅子というハンデにより自由に外に出ることもできず、夢の中で生きるしかないジョゼとの恋愛に心が温かくなります。
最初は、冷たく関西弁であしらうジョゼが、徐々に恒夫の優しさに触れて、心を通わせていく様がとてもよく、甘酸っぱさや爽やかさを感じさせます。
おばあちゃんしか頼る人がいなかったジョゼが、徐々に恒夫を信じていき、二人で外の世界に出ていきます。
ジョゼが観たかった海に行ったシーン。
海辺で初めて見せたジョゼの笑顔。
あの満面の笑顔ときらめく海辺は、心に染み入るような心地よさを感じましたし、これからの二人がどうなっていくのかドキドキさせられました。
そして、心を通わせ始めた二人に起こった衝撃の展開。
ここは原作にはないストーリーなので、賛否両論あるかもしれませんが、純粋に僕はとても良かったと思いました。
ただのハッピーエンドで終わるのではなく、二人を待ち受ける運命が描かれます。
その運命に対して、恒夫の葛藤、そしてジョゼが力強く動いていきます。
ジョゼが恒夫に向かってあのものを使って自分の想いを伝えるシーンは、僕はただ感動しました。
そして今作のアニメ描写がとても美しかったです。
アニメーションになることで生まれ変わった大阪の街もきれいでしたし、とにかく色合いも柔らかく、空気感まで表現されたような美しさでした。
初めて行った海辺のシーンでは、実際にはありえないような空や海の色合いでしたが、なぜかとても綺麗で自分の心も洗わされたような気持ちにもなりました。
恒夫がジョゼに渡したランプにともった灯は、空気まで美しく表現されていました。
これは実写では作れない、アニメーションだから見せることができた美しさだと思います。
王道のラブストーリーとそれを引き立たせるアニメーションによる美しい映像美。
子どもから大人まで楽しめて、劇場から出るときは心地よい余韻につつまれる映画です。
気になる方は劇場で見てみましょう。
エンドロール後にもまだ話は続くので、席は最後までたたないようにしましょう。
「ジョゼと虎と魚たち」のネタバレあり感想
それでは、ここからはネタバレありの感想を書いていきます。
みなさんはこの映画どう感じましたでしょうか?
僕は純粋にすごく前向きにさせてくれるいい映画だと思いました。
アニメ版ということでそこまで期待せずにいったんですが、いい感じに裏切られました。
アニメーションだから表現できたというそのアニメーションの力を感じました。
そして、ストーリーもオリジナルの追加された部分が僕には心に突き刺さりました。
順風満帆に行くかとおもいきや、恒夫がジョゼをかばって事故に遭うという展開。
恒夫は事故の後遺症で車椅子となり、夢だった留学の道が断たれます。
ジョゼは責任を感じ、恒夫を立ち直らせようと行動します。
それは自分が唯一表現できる絵を使って恒夫にメッセージを送るシーン。
冒頭では、子どもの前ではうまく読むことができなかった絵本。
しかし、自身で書いた恒夫のための絵本。
それは、恒夫への応援と感謝が混じった素晴らしい話でした。
子どもが徐々にひきつけられて目をキラキラと輝かせる様子や、最初はおどおどしていたジョゼが徐々に力強く自分の言葉を発していく様子は、感動しました。
恒夫とジョゼが互いに支えあって、大事な存在になっていく様子が観れてよかったです。
ジョゼもおばあちゃんが亡くなったり、自身が落ちていったとき、それを支えたのは恒夫でした。
管理人とし恒夫に接していましたが、ふと気づいたとき、家の中には恒夫との思い出があふれていました。
恒夫が作ってくれた足場やプレゼントされたランプなど恒夫との思い出に気づいたとき、ジョゼも立ち直り行動する力が出てきました。
こうして互いに助け合い、ラストには立ち直り、回復した恒夫は夢だった留学に向かっていく。
映画の時間は1時間半と少し短い映画でしたが、短さを感じさせられないくらい、ギュッと詰まったとても心地よい映画でした。
まとめ
今日は12月25日公開の映画「ジョゼと虎と魚たち」を紹介しました。
アニメーションとしての表現が素晴らしく、その美しさに驚きました。
ストーリーも原作から追加された部分もとてもよく、ジョゼと恒夫の二人の関係性を感じられてグッときました。
ジョゼの恒夫へのメッセージが込められたあの絵本は本当に心に響きました。
1時間半という少し短めの映画でしたが、満足度は高く、終わった後にこちらの心も温かくなっている、そんな映画でした。