映画「青くて痛くて脆い」の感想をネタバレありで書きます!!

彼女を奪ったものへの復讐劇の結末とは

映画「青くて痛くて脆い」を観てきましたのでレビューを書きます。

この映画は「君の膵臓をたべたい」の著者である住野よるの長編小説を映画化した作品です。

予告編からは復讐の最後にある衝撃の展開を期待でき、めちゃくちゃ面白そうでした。

少しネタバレもいれつつ、その感想を書きます。

 

 

映画「青くて痛くて脆い」とは

2020年8月28日に公開した作品で、原作は住野よるになります。

住野よるといえば「君の膵臓をたべたい」が頭に思い浮かびますが、本作はそのキミスイとは全く違う作風となっています。

キミスイは高校生の甘酸っぱい模様を描いた泣ける恋愛映画でしたが、本作は大学生のちょっと痛い青春の様子を描いた作品です。

タイトルの「青くて痛くて脆い」にもある通り、多くの人が共感できる青春時代の痛さや脆さがうまく表現されていました。

 

予告編はこちら

 

あらすじ

人付き合いが苦手な主人公、大学生の楓は、空気の読めない、そして本気で世界を平和にしたいと思う女性、秋好と出会います。

周りから浮いていて、しかし純粋な秋好の誘いで、二人は「世界を救う」という目標を掲げた秘密結社モアイを結成する。

二人はモアイを広げようと勧誘をしますが、他の学生からは興味を持ってもらえず、二人だけで活動をしていきます。

しかし、ある日秋好はこの世からいなくなってしまいます。

そして時がたち、二人が作ったモアイは就活のコネを作るための意識高い系のサークルになってしまいました。

秋好から「私に何かあったらモアイの意思は楓が引き継いでね」と言われていた楓は、変貌してしまったモアイをぶっ壊すことを決め、復讐を開始する。

 

 

「青くて痛くて脆い」のネタバレなし感想

この映画は、ストーリーの印象が次々と変わっていく作品でした。

最初は、楓と秋好が大学で出会い、二人でモアイを立ち上げて活動していくというほのぼのとした感じで進んでいきます。

映画のパンフレットを観た感じもまるで二人の恋愛映画として進んでいくのかなというような雰囲気を感じました。

二人がモアイの活動をしていく中で、登校拒否の子がいる施設にいって慈善活動を行ったり、楓と秋好の理想とする世界に向けて動いていき、楓の中で秋好やモアイの存在が大きくなっていきます。

そして、映画開始から数十分後、舞台が数年後になり雰囲気がガラッと変わります。

「死んだんだ!」

秋好はこの世からいなくなっており、二人で作ったモアイが意識高い系のリア充のサークルに変貌してしまいます。

ここから楓は、友人とともにモアイをぶっ潰すために、モアイの交流会やバーベキューに忍び込んでモアイの潰す画策をしていきます。

予告編にもある通り、ここから一気に本作はサスペンス調になっていきます。

  • 秋好はなぜいなくなったのか?
  • 楓はなぜモアイにいないのか?
  • なぜ、そして誰がモアイを変えてしまったのか?

楓がモアイに潜入して行動していく中で、徐々にこの辺りの真相が明らかになっていきます。

そして、衝撃の展開が待っています。

この展開により、これまで進んでいたストーリーが一気に変わっていきます。

僕はこの展開は驚きましたし、後になって予告編の映像を観ても、うまく騙されたなと思いました。

ここまでは、最初の秋好と楓の青い気持ちの部分や、楓に対して大事なモアイを奪われたことに対する少し同情のような感情を持っていたのですが、この展開からは楓に対する感情が全く変わりました。

それこそ、タイトルにもある痛さや脆さを感じさせられました。

前半で感情移入していた気持ちをガラッと変えられ、本当に観ている側の気持ちを激しく揺さぶられる、ここにとても面白さを感じました。

そして、最終的に楓はモアイを潰すのか?

モアイはどうなってしまうのか?

ここは楓の心の葛藤や痛さや脆さを感じながら、僕は共感しました。

そして、ラストに楓はあることに気づき、走り出します。

このシーンの走る理由が分かった時、観ている方によって感じ方は違うかもしれませんが、きっと心に響くものがあると思います。

出演している俳優陣も主演の吉沢亮さんや杉咲花さんを始め、岡山天音さん、松本穂香さん、清水尋也さん、森七菜さんなど、それぞれの演技が絶妙で、タイトルの青さや痛さ、脆さをそれぞれのキャラでしっかりと表現されていました。

10代や20代だけでなく、40代や50代の方でも自分の青春時代を思い出して、共感し響く作品だと思いますので、興味が出た方は観ていただければと思います。

 

 

「青くて痛くて脆い」ネタバレあり感想

それでは、ネタバレありで感想を書きます。

皆さんはこの映画をどう感じましたでしょうか?

実は、秋好は死んでおらず、モアイの代表として活動していて、楓はその変わってしまった秋好、楽しそうにみんなとモアイの活動をする秋好に対して、嫉妬や愛情というか友情のもつれから、痛くて脆い復讐をしていくという話でした。

僕はこの映画を観ていて、最初の二人で作ったモアイを変な形に変えられたことに対する楓の気持ちは共感できるものがありましたし、ぶっ潰すという行動に対しても「やってやれ!」って感じで応援する気持ちがありました。

そして、実は秋好は生きていて、モアイを潰すというのも楓の実は独りよがりな痛い部分が見えてきたとき、「あれ?思った展開と違う。この映画はここからどういう展開になっていくんだ?」と映画に引き込まれたところもありましたが、先の読めない展開に若干戸惑いもしました。

でも、楓の痛さや脆い部分というのは、誰もが持っている共感できる部分だと思います。

自分の好きなものや、自分たちだけの小さい世界が変わってしまったり、他人によって邪魔されたとき、きっと楓のような感情になってしまうと思います。

そして、講堂で楓と秋好が言い争いをするシーン。

この二人が感情をむき出しにして互いを罵倒するんですが、このシーンは二人の本音がぶつかり合っていて、とてもいいシーンでした。

楓は秋好に対して

「俺は別にやりたくなかった」

「お前の相手なんかしなければよかった」

と言えば、次は秋好が楓に

「私のこと好きだったの?」

「気持ち悪い」

と言い返したり、二人の間の空気のピリピリ感などがめちゃくちゃ伝わってきました。

ここで、二人が本音でぶつかり合うことで最後のシーンにつながっていったと思います。

楓は、モアイをSNSを使って潰すことに成功するんですが、その後反省し、次は自分自身をSNSに投稿して周りから傷つけられようとします。

しかし、SNSを使うということは直接ではなく、あくまでもネットを使って他人から間接的に批判され、傷つけられた気になっていただけなんです。

最後のシーンで楓は走り出しますが、これは自分の弱さに気づいた楓が直接傷つけられるために走っています。

「ちゃんと傷つけ」

これまでを観たうえで、このラストシーンはとても心に響くものがありました。

そしてきちんと傷つくことで、次に進める、次はきっといいことが待っているというこの映画からのメッセージだと僕は思いました。

 

 

まとめ

今日は8月28日公開の映画「青くて痛くて脆い」を紹介しました。

この映画は最初のホンワカとした雰囲気からガラッと変わっていく展開に引き込まれて行きながらも、楓の痛さや脆さに共感していきました。

この痛さや脆さは誰もが心の中にもっている部分だと思いますし、「ちゃんと傷つけ」という映画からの強いメッセージに共感できました。

よくあるハッピーエンドな映画ではないですが、自分の中にある痛い部分や脆い部分を少し思い出したようないい映画でした。

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